
この記事のポイント
- メキシコのロペス・オブラドール前大統領が新著を発表し、退任後久しぶりに公の場へ再登場した。
- 新著では米国の「衰退」の原因を、その経済モデルと戦争を重ねる姿勢にあると論じている。
- 歴代大統領や米国大使、メディアも批判しており、米墨関係や現政権への影響が注目される。
沈黙を続けた前大統領が新著で表舞台へ
メキシコで、2024年に退任したアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール前大統領(頭文字から「AMLO(アムロ)」と呼ばれる)が新しい著書を発表し、久しぶりに公の場に姿を見せました。現地紙ラ・ホルナダなどの報道によると、新著のなかで同氏は、米国が「衰退」に向かっているとし、その原因を米国の経済モデルと戦争を重ねてきた姿勢に求めています。
ロペス・オブラドール氏は退任後、南部チアパス州パレンケ近郊の私邸に移り、政治の第一線から退くと公言してきました。パレンケはマヤ文明の遺跡で知られる地域です。今回の新著とメッセージは、この「引退生活」からの再登場として受け止められています。
米国、元大統領、メディアへの批判
報道によれば、同氏は米国の衰退論にとどまらず、メキシコの歴代大統領や過去の駐メキシコ米国大使、さらに国内外のメディアにも批判を向けたとされます。在任中から、毎朝の記者会見「マニャネラ」で批判的な報道機関を名指しで批判してきた同氏らしい論調といえます。
ロペス・オブラドール氏は左派政党モレナ(国家再生運動)の創設者で、新自由主義的な経済政策を批判し、貧困層向けの社会政策を拡大してきました。米国の経済モデルを批判する今回の主張も、こうした従来からの思想の延長線上にあると見られます。
米墨関係と後継政権への影響は
現在のメキシコは、同氏の後継者であるクラウディア・シェインバウム大統領が政権を担っています。米国はメキシコにとって最大の貿易相手国であり、関税や移民、麻薬カルテル対策などをめぐって難しい交渉が続いています。そのなかで、いまなお強い影響力を持つ前大統領が米国を厳しく批判することは、政権の対米姿勢とは別の個人的見解であるとしても、内外から注目を集めやすいと考えられます。
また今回の再登場は、同氏の家族をめぐる疑惑が国内メディアで取り沙汰されている時期と重なっており、一部の報道はその点に触れています。ただ、新著の発表と疑惑報道との関係について、確かなことは明らかになっていません。
退任した大統領が政治に口を出さないことを慣例としてきたメキシコで、前大統領の発言がどこまで政権や世論に影響を与えるのか、今後の動向が注目されます。
※本記事はメキシコの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:La Jornada




