
この記事のポイント
- 台湾の台北市長選で、民進党の沈伯洋氏の選挙事務所開きに人気司会者の蔡康永氏が控えめに姿を見せた。
- 蔡氏は「台北順起來」と書かれた札を手にしており、中国のネットユーザーからは強い反発が出ていると報じられた。
- 芸能人の政治的な態度表明は中国での仕事に影響しうるとされ、中台関係の微妙さが改めて浮き彫りになった。
人気司会者が選挙集会に登場
台湾の首都・台北市の市長選挙をめぐり、与党・民主進歩党(民進党)から立候補する沈伯洋(しん・はくよう)氏の選挙事務所開きの集会に、台湾の著名なテレビ司会者で作家の蔡康永(さい・こうえい)氏が姿を見せました。現地メディアによると、蔡氏は目立つ演説などはせず控えめに会場に現れ、「台北順起來」と書かれた札を手にしていたといいます。この様子が報じられると、ネット上で大きな話題になりました。
蔡康永氏は、中国語圏で高い人気を誇った台湾のバラエティ番組『康熙來了』の司会者として知られ、台湾だけでなく中国大陸にも多くのファンがいます。これまで政治的な立場を前に出すことの少なかった人物が選挙集会に姿を見せたことが、注目を集めた理由の一つとみられます。
「洋流」と「台北順起來」
見出しにある「洋流」は、沈伯洋氏の名前の「洋」にかけた、支持者の盛り上がりを指す呼び名です。「台北順起來」は「台北をスムーズに動かそう」といった意味の言葉で、沈陣営の選挙スローガンとして使われているとみられます。
沈伯洋氏は法学者出身で、民進党の立法委員(国会議員にあたる)を務めてきました。中国からの情報工作や偽情報への対策、民間防衛の取り組みで知られ、中国当局から「台湾独立」勢力として制裁の対象とされたこともある人物です。対する台北市政は、最大野党・国民党の蒋万安(しょう・ばんあん)市長が率いており、今回の市長選は与野党の対決として関心を集めています。
中国のネットユーザーからは反発も
台湾メディアの報道では、蔡氏が集会に現れたことに対し、中国の愛国的なネットユーザー、いわゆる「小粉紅(シャオフェンホン)」から強い反発の声が出ているとされます。中国市場でも人気のある芸能人が、中国から制裁を受けた政治家を応援したと受け止められたためとみられます。
台湾では、芸能人が政治的な態度を示すと、中国での仕事に影響が出るおそれがあるという見方が以前からあります。そのため、多くの芸能人が政治から距離を置いてきました。今回の蔡氏の行動がどこまで踏み込んだ支持の表明なのかははっきりしませんが、台湾の芸能界と政治、そして中台関係が絡み合う微妙な問題を改めて浮かび上がらせたといえそうです。
統一地方選へ向けた前哨戦
台湾では2026年に、市長や県知事などを一斉に選ぶ統一地方選挙が予定されています。なかでも台北市長選は、2028年の総統選をにらんだ与野党の力比べとも位置づけられる重要な選挙です。著名人の動きが今後の選挙戦にどう影響するのか、注目が続きそうです。
※本記事は台湾の現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Yahoo新聞




