
この記事のポイント
- アルゼンチンの裁判所が、大学財源法の執行を止めたミレイ政権の大統領令を違憲と判断した。
- 大学財源法は大学の予算や教職員の給与を物価に合わせて見直す法律で、政府は控訴する方針とされる。
- 判決を受け、国立大学の学長らは大統領府前のマヨ広場で会合を開き、政府への圧力を強める構えだ。
南米アルゼンチンで、国立大学の財源を保障する法律をめぐり、司法が政府に厳しい判断を示しました。現地の複数のメディアによると、裁判所は、ハビエル・ミレイ政権が「大学財源法」の執行を止めるために出した大統領令を「違憲」と判断しました。政府はこの判決を不服として控訴する方針と伝えられています。
何が争われていたのか
大学財源法は、国立大学の運営費や教職員の給与を、物価上昇に合わせて見直すことなどを定めた法律です。アルゼンチンは長年、高いインフレに悩まされてきました。そのため予算額が据え置かれると、実質的には大きな削減になります。大学側は、教職員の給与が目減りし、研究や授業の維持が難しくなっていると訴えてきました。
この法律は議会で可決されました。これに対しミレイ政権は、財源の裏付けがないことなどを理由に執行を先送りし、事実上ストップさせる大統領令を出していました。今回の判決は、議会が定めた法律を行政側の命令で止めることは憲法に反する、という趣旨のものとみられます。
背景にあるミレイ政権の緊縮路線
2023年末に就任したミレイ大統領は、「小さな政府」を掲げるリバタリアン(自由至上主義)の経済学者出身です。財政赤字の解消を最優先とし、公共支出を大幅に削ってきました。インフレの沈静化などで一定の成果を挙げたと評価する声がある一方、教育や医療、年金などへのしわ寄せに対しては強い反発も起きています。
中でも国立大学の予算問題は、社会の関心が特に高いテーマです。アルゼンチンの国立大学は原則として授業料が無料で、幅広い層に高等教育の機会を開いてきました。多くの国民はこれを誇りとしています。過去には、大学予算の削減に抗議する大規模なデモが全国で起き、首都ブエノスアイレスに多くの人が集まったこともありました。
大学側は大統領府前で会合へ
判決を受けて、国立大学の学長らは、毎月開いている定例会合を大統領府前のマヨ広場で開く予定だと報じられています。マヨ広場は、大統領府「カサ・ロサダ」に面した広場で、アルゼンチンの政治集会や抗議行動の象徴的な場所です。会合の場所をあえてここにすることで、政府に法律を守るよう求める姿勢をはっきり示す狙いがあるとみられます。
政府が控訴すれば、最終的な決着は上級審に持ち越されます。そのため、大学への予算がすぐに増えるかどうかは、まだ分かりません。財政規律を重んじる政権と、法律の順守を求める司法・議会・大学との対立は、今後も続く可能性があります。
※本記事はアルゼンチンの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Página|12




