
この記事のポイント
- メキシコ社会保障庁の労働組合が、約47万5000人を対象に10月14日の賃金投票を呼びかけている。
- IMSSと労働省は大規模デモと投票を前に、全国277の病院で職員の訴えを聞く取り組みを始めた。
- 背景には薬不足や未解決の労働問題があり、シェインバウム大統領も対応すると約束している。
約50万人規模の投票と大規模デモ
メキシコで、公的医療を担うメキシコ社会保障庁(IMSS)の職員をめぐる労使の動きが大きくなっています。現地経済紙エル・エコノミスタによると、IMSSと労働社会保障省(STPS、日本の厚生労働省の労働部門にあたる)は、職員による大規模デモと約50万人が参加する投票を前に、各地の医療機関を回って職員の訴えを直接聞く取り組みを始めました。
IMSSは民間企業で働く人とその家族が入る公的な社会保険の運営機関で、全国に病院や診療所を持ち、国内最大級の医療の担い手です。職員の労働組合(全国社会保障労働者組合、SNTSS)は、10月14日に行う賃金についての組合員投票に約47万5000人の組合員を呼びかけていると、現地紙ラ・ホルナダが伝えています。
背景にある薬不足と未解決の待遇問題
メキシコでは2019年の労働法改正で、労働協約や賃上げの内容を組合員が個人で、秘密投票によって承認する仕組みが導入されました。組合幹部と経営側の話し合いだけで決まっていた従来の慣行を改め、組合の民主化を進めるのが目的です。今回の投票も、この仕組みに沿ったものとみられます。
現場の不満は賃金だけではありません。メキシコの公的医療機関では、ここ数年、薬や医療資材の不足が問題になってきました。現地報道によると、シェインバウム大統領は医療分野での品不足や、残っている労働問題への訴えに対応すると約束しています。また、IMSS職員が首都メキシコシティで道路を封鎖する抗議行動を行い、その後3本の通りの封鎖を解いたとも報じられており、現場の緊張がうかがえます。
277病院で「聞き取り」を開始
IMSSは、全国277の病院で職員の声を聞く「積極的な傾聴」の取り組みを始めたと発表しました。デモや投票の前に、経営側と政府が自分から現場に出向いて不満を拾い上げ、対立が大きくなるのを防ぐ狙いがあると考えられます。
政府としては、医療サービスを止めずに職員の要求にどう応えるかが問われます。投票の結果や、賃上げ幅、薬不足への具体的な対策がどう示されるかは、現時点では分かっていません。公的医療の働き手の待遇は利用者へのサービスの質にも直結するため、今後の労使交渉の行方が注目されます。
※本記事はメキシコの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:El Economista




