
この記事のポイント
- ルラ政権内では、ブラジル選挙で労働党が勝ってもミレイ大統領が結果を認めないのではとの懸念が出ている。
- ルラ氏のアルゼンチン批判に対し、ミレイ氏は「泥棒でうそつき」と強い言葉で反論し、対立が改めて目立った。
- メルコスールの中心である両国の関係悪化を心配し、アルゼンチン国内のメディアでも自制を求める論評が出ている。
ルラ政権内に広がる警戒感
アルゼンチンの有力紙ラ・ナシオンによると、ブラジルのルラ政権内では「ブラジルの選挙でルラ大統領の与党・労働党(PT)が勝っても、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領はその結果を認めないかもしれない」という見方が出ています。隣り合う二つの大国の首脳の対立が、選挙結果の受け止め方にまで及びかねない状況として、アルゼンチン国内で注目されています。
「泥棒でうそつき」――激しさを増す応酬
きっかけの一つは、両首脳の言葉の応酬です。ルラ大統領がアルゼンチンの現状を批判したことに対し、ミレイ大統領は「泥棒でうそつき」という強い言葉で反論したと、アルゼンチンの複数のメディアが伝えました。ルラ氏の発言の細かな内容や場面は報道によって伝え方が異なりますが、両者の個人的な対立がまたはっきりした形です。
ミレイ氏は「無政府資本主義者」を名乗る右派の経済学者で、2023年の大統領選に勝って政権に就きました。選挙戦の頃から左派のルラ氏を激しく批判しており、ブラジルの右派のボルソナロ前大統領とは親しい関係にあります。一方、ルラ氏が率いる労働党は、労働運動を母体とするブラジルの代表的な左派政党です。
なぜ「結果を認めない」ことが問題なのか
ふつう、民主主義の国どうしでは、相手国の選挙結果が出ると首脳がすぐに祝意を示し、新しい政権を認めます。それをしないことは、外交上の強い意思表示になります。ブラジルにとってアルゼンチンは南米で最も重要な隣国の一つで、両国は関税同盟メルコスール(南米南部共同市場)の中心でもあります。首脳どうしの対立が外交関係そのものを傷つければ、貿易やエネルギー、地域協力に影響が出るおそれもあります。
ただし、ミレイ政権が実際に選挙結果を認めないと決めたと伝えられているわけではありません。今回の報道は、あくまでブラジル政府内の「懸念」や「見立て」を伝えたものです。
アルゼンチン国内でも自制を求める声
アルゼンチンの論壇でも、地方紙ラ・ボス・デル・インテリオールが「外交が越えてはならない一線」という趣旨の論評を載せ、週刊誌ペルフィルも大統領に真剣に意見する人が必要だと論じるなど、首脳外交のあり方を心配する声が出ています。思想の違いを超えて、隣の大国との実務的な関係をどう保つか。ミレイ政権の外交姿勢が改めて問われています。
※本記事はアルゼンチンの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:La Nación




