
この記事のポイント
- 香港と深圳の皇崗口岸を結んだ越境シャトルバス「皇巴」が、約30年の運行を終えて最終日を迎えた。
- 最終日の車両は「三十載相伴」と表示して走り、バスファンや深圳の利用者が停留所で最後の運行を見届けた。
- 運行終了は新皇崗口岸の開通に合わせたもので、李家超行政長官は大湾区の相互接続の節目だと位置づけた。
「30年間ありがとう」を掲げた最終日
香港と中国本土・深圳を結ぶ越境シャトルバス、通称「皇巴(ウォンバー)」が運行最終日を迎えました。香港の現地報道によると、最終日の車両は行先表示に「三十載相伴(30年をともに)」という言葉を映して走りました。停留所には、最後の姿を写真に収めようとするバスファンや、普段から利用してきた深圳側の乗客が集まり、長年続いた路線の終わりを見届けました。
「皇巴」とはどんなバスか
「皇巴」は「皇崗巴士」の略称です。香港新界北部の落馬洲と、深圳側の皇崗口岸(口岸=出入境の検問所)のあいだを往復するシャトルバスです。香港と深圳の境界は川で隔てられており、出入境の手続きは香港側と本土側の両方で受ける必要があります。皇巴は、二つの検問所のあいだを乗客に移動してもらうための足として使われてきました。
皇崗口岸は、香港と本土を結ぶ陸路の検問所の中でも、深夜帯まで通行できる拠点として知られています。そのため皇巴は、深夜に香港と深圳を行き来する人や、買い物・通勤・帰省で境界を越える人々にとって身近な存在でした。行先表示の「三十載」という言葉からも、約30年にわたって境界の往来を支えてきたことがうかがえます。
背景にある新皇崗口岸の開通
皇巴が役目を終えるのは、建て替えられた「新皇崗口岸」の開通に合わせたものです。開通式典では、香港政府トップの李家超(ジョン・リー)行政長官が、新口岸の開通は粤港澳大湾区(広東省・香港・マカオを一体の経済圏として発展させる中国の国家構想)の相互接続にとって重要な節目だと述べました。深圳側は、新口岸の利用者が1日あたり10万人規模に達するとの見通しを示していると報じられています。
新口岸では、出入境手続きをより一体的に行える仕組みが想定されています。そのため、二つの検問所のあいだを移動するための専用シャトルバスは必要性が下がったと考えられます。皇巴の終了は、境界の通り方そのものが変わったことの表れといえそうです。
交通インフラの「世代交代」
香港では近年、本土とを結ぶ高速鉄道や港珠澳大橋(香港・珠海・マカオを結ぶ海上橋)など、越境インフラの整備が続いています。利便性が高まる一方で、長く市民の生活に溶け込んできた乗り物や風景は姿を消しつつあります。香港には車両や路線を記録・保存しようとする熱心なバスファンが多く、今回も別れを惜しむ声が集まりました。開発で便利になることと、なじみの風景が失われることが同時に進む、香港と深圳の一体化を象徴する一幕といえるでしょう。
※本記事は香港の現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Yahoo




