
この記事のポイント
- オーストラリアでは、カード払いに1〜2%程度の手数料を上乗せするサーチャージを禁止する方向で動いている。
- 専門家は、事業者が禁止を口実に、手数料分を超える値上げをする「隠れみの」に使う恐れがあると指摘する。
- 決済コストそのものは残るため、銀行が負担すべきだとの声もあり、誰が負担するかの議論が続いている。
カード払いの「上乗せ手数料」が禁止へ
オーストラリアでは、カードで支払うと会計額に1〜2%程度の「サーチャージ(決済手数料の上乗せ)」が加算されるのが一般的です。カフェやレストラン、タクシーなどで日常的に見られ、消費者の不満の種になってきました。日本では、カード会社の規約で加盟店が手数料を客に上乗せすることは原則認められていないため、日本の読者にはなじみの薄い仕組みかもしれません。
こうした状況を受けて、オーストラリアではデビットカードやクレジットカードのサーチャージを禁止する方向で動いています。カード決済の多くで消費者が追加料金を払わずに済むようになり、家計の負担軽減につながると期待されています。
専門家「値上げの口実に使われる恐れ」
一方で、英紙ガーディアンのオーストラリア版によると、専門家からは懸念の声が出ています。事業者が「サーチャージを取れなくなったから」と説明しつつ、実際には本来の手数料分を上回る値上げをする可能性があるという指摘です。サーチャージ禁止が、より大きな値上げの「隠れみの(cover)」になりうるというわけです。
サーチャージは会計時に別建てで表示されるため、消費者にも金額が見えていました。これが商品やサービスの本体価格に組み込まれると、どこまでが手数料の転嫁で、どこからが純粋な値上げなのかが分かりにくくなります。物価高が続くなかでは、価格改定の理由として手数料を持ち出しやすい環境にあるとも考えられます。
コストを誰が負担するのか
カード決済には、店舗側が銀行や決済事業者に払う手数料が必ずかかります。上乗せを禁じても、このコストそのものが消えるわけではありません。そのため現地では、負担を店舗や消費者ではなく銀行側が吸収すべきだという意見も出ており、政権内からもそうした声が上がったと報じられています。また、税金をカードで納める場合の扱いなど、制度の細部をめぐる議論も続いています。
一般論として、手数料の上乗せを禁じれば、カードを使う人も現金で払う人も同じ価格を払う形になります。その結果、手数料のコストが利用者全体に薄く広く分散するという見方もあります。消費者にとって本当に得になるかは、決済手数料そのものの水準がどこまで下がるか、そして事業者の価格設定を監視する仕組みが機能するかに左右されそうです。
今後の焦点
今後は、禁止措置の前後で価格がどう変わるかを当局や消費者団体が追跡できるかが焦点になります。便乗値上げが目立てば、規制強化を求める声が高まる可能性もあります。キャッシュレス化が進む日本にとっても、決済コストを誰がどう負担するかを考えるうえで参考になる事例といえるでしょう。
※本記事はオーストラリアの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:The Guardian




