
この記事のポイント
- ラオスで覚醒剤とともに押収された私有機が、ドゥテルテ氏を運んだ機体だとする説がSNSで拡散した。
- フィリピンのRapplerが事実確認を行い、両者は別の機体であり「同一機」説は誤りと結論づけた。
- ダバオ拠点のグループ関与の報道もあり、政治対立の中で誤情報が広がりやすい状況がうかがえる。
SNSで広がった「同じ飛行機」説
フィリピンで、ラオスで大量の覚醒剤とともに押収されたプライベートジェットが、ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領をオランダ・ハーグへ移送した機体と「同じ飛行機だ」とする投稿がSNS上で拡散しました。これに対し、フィリピンの独立系ニュースサイト「Rappler(ラップラー)」がファクトチェック(事実確認)記事を出し、両者は別の機体だと結論づけています。
背景:ドゥテルテ氏のハーグ移送
ドゥテルテ氏は2016〜2022年に大統領を務め、在任中に強硬な「麻薬戦争」を進めました。警察の取り締まりなどで多数の死者が出たことから、国際刑事裁判所(ICC、本部はオランダ・ハーグ)が「人道に対する罪」の疑いで捜査を進め、2025年3月に同氏はマニラで逮捕され、チャーター機でハーグへ移送されました。この移送は国内で大きな政治的対立を生み、支持派と批判派の間では現在も激しい情報戦が続いています。
ラオスでの覚醒剤押収事件
一方、東南アジアのラオスでは、プライベートジェットから大量の覚醒剤(フィリピンでは「シャブ」と呼ばれる)が押収されました。現地報道では、その価値は約35億ペソ(日本円で約90億円前後)とされ、フィリピン南部ミンダナオ島の政治家やダバオ市を拠点とするグループの関与を指摘する報道も出ています。ダバオはドゥテルテ一族の地盤であることから、事件がドゥテルテ氏と結びつけて語られやすい状況にあったとみられます。ただし、こうした関与の疑いは捜査段階のもので、現時点で確定した事実ではありません。
ファクトチェックの結論
Rapplerの検証によれば、ラオスで押収された機体と、ドゥテルテ氏の移送に使われた機体は異なるものであり、「同一機」という主張は誤りとされました。航空機は登録番号などで個体を識別できるため、こうした照合が判断の根拠になったと考えられます。
なぜこうした誤情報が広がるのか
フィリピンはSNSの利用時間が世界でも上位とされる国で、選挙や政治をめぐる偽情報がたびたび社会問題になってきました。ドゥテルテ氏をめぐっては、ICCでの審理や国内政局と絡み、支持・反対双方から真偽不明の情報が流れやすい状態です。今回の件は、麻薬事件という注目度の高い話題と、政治的に敏感な人物を結びつけた投稿が、検証前に拡散してしまう典型例といえるでしょう。ラオスの事件そのものの捜査の行方とあわせ、情報の受け手側にも冷静な確認が求められています。
※本記事はフィリピンの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:Rappler




