
この記事のポイント
- カーニー首相がモントリオールでEU首脳を迎え、カナダがEUの「準加盟国」を目指す考えを示した。
- 背景にはトランプ政権の関税で、米国に頼りすぎた貿易を多角化したいというカナダの事情がある。
- 準加盟国の具体的な中身は固まっておらず、実現にはEU内の調整など課題が多いとみられる。
カナダのマーク・カーニー首相は、ケベック州モントリオールで開かれたカナダ・EU首脳会議でEUの首脳を迎えました。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長とともに、カナダがEUの「準加盟国(アソシエイト・メンバー)」のような地位を得る構想を打ち出しました。複数の現地メディアによると、カーニー首相は「カナダは準加盟国になることを目指して取り組んでいる」と述べています。
「準加盟国」とは何か
EUの正式な加盟国になるには、原則として欧州の国であることが条件です。そのため、北米のカナダがそのまま加盟することは想定されていません。今回の「準加盟国」は、正式加盟とは別に、特定の分野でEUとの結びつきをいっそう深める枠組みを指しているとみられます。ただ、どの分野が対象になるのか、どんな権利や義務を伴うのかといった具体的な中身は、現時点の報道でははっきりしていません。構想を示した段階であり、制度として固まったものではない点に注意が必要です。
背景にある「トランプ政権の影」
カナダが欧州との連携強化を急ぐ最大の理由は、隣の米国との関係です。カナダは輸出の大部分を米国に頼ってきました。しかし米国のトランプ政権が関税を引き上げたことで、カナダ経済は大きな打撃を受けています。欧州メディアは今回の会議を「トランプ氏の長い影の下で、より広く深い同盟を結ぶもの」と伝えました。
カナダとEUの間には、2017年から暫定的に適用されている包括的経済貿易協定(CETA)があり、関税の多くはすでに撤廃されています。カナダ政府はこの土台の上に、安全保障や産業、人材の交流などへ協力を広げ、取引先を多様化したい考えです。一方で、カナダの銀行系シンクタンクTDエコノミクスは「欧州はカナダの貿易の多角化にどこまで役立つのか」と題した分析を出しています。地理的な距離や、米国市場の規模の大きさを考えると、欧州が米国の代わりをどこまで務められるかには議論の余地があるといえます。
開催地ケベックでの温度差
会議が開かれたモントリオールは、フランス語圏のケベック州最大の都市で、欧州との歴史的・文化的なつながりが強い場所です。カーニー首相は、欧州との連携によってケベックの若者に欧州で働く機会が広がると訴えました。これに対し、州の独立を掲げるケベック党のポール・サンピエール・プラモンドン党首は会議への参加を拒否しており、カナダ国内の政治的な緊張もうかがえます。
今後の焦点
「準加盟国」構想が実際の制度になるには、EUの側でも加盟国の間での調整が必要になると考えられ、すぐに実現する可能性は低いとみるのが一般的です。それでも、米国以外の国や地域との関係を深めようとするカナダの姿勢をはっきり示した会議だったといえます。今後の交渉でどこまで中身が具体化するかが注目されます。
※本記事はカナダの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:CTV News




