
この記事のポイント
- オークランド中心部を貫く地下鉄路線CRLが開業し、16年越しの計画がついに実現した。
- 計画を推進した元市長レン・ブラウン氏は初乗車を前に「歌って踊りたい気分」と語った。
- 終端駅だった中心部を地下で貫通させ、郊外路線の直通と輸送力増強を図る事業である。
元市長が「歌って踊りたい気分」と語った日
ニュージーランド最大の都市オークランドで、市内中心部を貫く地下鉄路線「シティ・レール・リンク(City Rail Link、略称CRL)」がついに開業した。現地公共放送RNZなどによると、市長時代にこの計画を強く推し進めた元オークランド市長レン・ブラウン氏は、開業初日の乗車を前に「歌って踊りたい気分だ」と高揚を隠さなかったという。地元メディアは「16年を経て、ようやく乗り込む時が来た」と、長い政治的・技術的な道のりの終着点としてこの日を伝えている。
そもそもCRLとは何か
オークランドはニュージーランドの人口の約3分の1が集まる都市圏だが、鉄道網は長らく「行き止まり」構造という弱点を抱えてきた。中心部の主要駅ブリトマート(現地名ワイテマタ駅)が終端駅で、列車がそこから先へ抜けられないため、本数を増やしても処理能力が伸びなかったのだ。CRLは中心部の地下に約3.5キロの複線トンネルを掘り、この終端駅を通過駅に変える事業である。トンネル途中には新たな地下駅が設けられ、既存の郊外路線が中心部を貫通して結ばれる形になった。日本の読者には、行き止まりだったターミナルを地下で結んで直通運転を可能にした都市改良事業――たとえば都心を貫く連絡線の新設――に近いものとイメージすると分かりやすい。
長期化した事業と残る課題
CRLは構想段階から着工、そして開業までに10年以上を要した。ニュージーランド政府とオークランド市が費用を分担する大型公共事業として進められ、その間に工期と事業費は当初計画から膨らんだと現地で繰り返し報じられてきた。中心部の道路を長期間掘り返す工事だったため、沿道の商店が客足の減少に苦しんだという指摘もあった。それでも開業により、郊外から中心部への所要時間短縮と輸送力の増強が見込まれる。
一方で、鉄道が都市の骨格として本当に機能するかは、これからの運行の安定性や、バスなど他の交通との接続、沿線の再開発がどこまで進むかにかかっている。自動車依存が強いと言われてきたオークランドで、人々の移動習慣がどれだけ変わるかは、現時点ではまだ見通せない。元市長の喜びは、長年の政治的努力が形になったことへの率直な感慨であり、同時にこの都市の交通が新しい段階に入ったことを象徴している。
※本記事はニュージーランドの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:RNZ




