
この記事のポイント
- アルゼンチンで、2026年に「極めて強い」スーパー・エルニーニョが起きる可能性があるとして警戒が強まっている。
- エルニーニョの年は中部の平原や北東部で雨が増えやすく、干ばつ後の農業には恵みになる反面、洪水の危険も高まる。
- 農業界は国や州と協議しながら備えを進めているが、排水路などインフラ整備の遅れを懸念する声が出ている。
「極めて強い」エルニーニョに警戒
南米アルゼンチンで、2026年に「スーパー・エルニーニョ」が起きるのではないかとの見方が広がっています。現地の主要紙ラ・ナシオンなどは、専門家が「極めて強い」と表現するこの現象について、同国の天候の見通しを大きく変える可能性があると伝えています。ほかの現地メディアも「歴史的な強さ」になるおそれや、記録的な大雨に見舞われうる地域について報じています。
エルニーニョとは何か
エルニーニョ現象は、南米ペルー沖から太平洋赤道域の中部にかけて、海面水温が平年より高い状態が続く現象です。影響は世界各地の気象に及び、日本でも冷夏や暖冬の要因の一つとして知られています。特に勢力が強いものは俗に「スーパー・エルニーニョ」と呼ばれ、過去には1997〜98年や2015〜16年の事例が世界的な異常気象と結びつけて語られてきました。
アルゼンチンにとっての「恵み」と「脅威」
アルゼンチンでは、エルニーニョの年は春から夏(南半球のため日本とは季節が逆で、おおむね10月〜翌3月)に雨が多くなる傾向があるとされます。特に、パンパと呼ばれる中部の大平原や、パラナ川流域を含む北東部(「リトラル」地方)で雨が増えやすいと一般に言われています。
同国は大豆・トウモロコシ・小麦などを世界に輸出する農業大国で、数年前にはラ・ニーニャ現象(エルニーニョと逆の状態)による深刻な干ばつで大きな打撃を受けました。そのため、十分な雨は収穫量の回復につながる「恵み」になりえます。一方で、雨が極端に多くなれば、洪水や冠水、道路の寸断、収穫作業の遅れといった被害も心配されます。
農業界は「インフラの遅れ」を懸念
大手紙クラリンによると、農業界は政府や州政府と協議しながら、スーパー・エルニーニョへの備えを進めています。関係者からは「インフラ整備に大きな借りがある」との声も上がっていると伝えられています。排水路や農道の整備が進まないまま大雨に見舞われれば、農地の冠水や物流の停滞を招きかねないという危機感がうかがえます。
アルゼンチンは連邦制の国で、治水や道路整備の責任は国と州にまたがっています。財政が厳しいなか、限られた予算をどこに回すかは政治的にも難しい判断になりそうです。
今後の見通し
エルニーニョがどこまで強まり、いつまで続くのか、どの地域にどれだけの雨が降るのかについては、予測に幅があります。報道で使われる「スーパー」「歴史的」といった表現も、今後の観測データによって見直される可能性があります。とはいえ、農業が経済を支えるアルゼンチンにとって、この夏の天候は収穫や輸出、ひいては国の経済全体にも関わる大きな関心事です。気象当局の発表や各州の防災対策が、今後いっそう注目されそうです。
※本記事はアルゼンチンの現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:La Nación




