
この記事のポイント
- 韓国で警察が小児救急室を家宅捜索し、医療界が「診療妨害だ」と強く反発している。
- 病院長は警察から謝罪を受けたと明かし、辞表を出した医療スタッフ3人の引き留めに動いている。
- 保健福祉部長官が警察庁長官の職務代行と会い、必須医療分野の捜査指針を協議する予定だ。
韓国で、警察が病院の小児救急室を家宅捜索したことが大きな議論になっています。医療界は「一刻を争う現場での診療を妨げる行為だ」と強く反発しています。一方、警察は「法に基づく適法な執行だ」と説明しており、両者の主張は真っ向から対立しています。
医療界の反発と現場の動揺
現地報道によると、この捜索は京畿道水原市にある亜洲(アジュ)大学病院の小児救急室に関わるものとみられます。同病院の院長は、警察側から何度も「申し訳ない」と謝罪を受けたと明かしました。また、今回の件を受けて辞表を出した医療スタッフが3人いることも伝えられています。院長は、この3人を引き留めるよう説得する考えを示しています。
進歩系の有力紙ハンギョレは社説で、小児救急室への強制捜査を「医療に対する侮辱だ」と批判しました。さらに、医師と患者らがソウルの警察庁前に集まって抗議集会を開き、「ここに泥棒はいない」と訴えたとも報じられています。捜索の具体的な容疑や経緯について、元の報道の要約からは詳しく分かっていません。
政府も対応へ、「必須医療」の捜査指針を協議
波紋が広がるなか、保健福祉部(日本の厚生労働省にあたる)の長官が、来週にも警察庁長官の職務代行と会う予定です。そこでは「必須医療」分野の捜査指針について話し合うとされています。必須医療とは、救急・小児科・産婦人科・外科など、命に直結するのに担い手が不足しがちな分野を指す、韓国でよく使われる言葉です。
背景にある韓国の医療事情
韓国ではここ数年、小児科医や救急医の不足が深刻な社会問題になっています。救急車が受け入れ先を見つけられずに病院を転々とする状況は「救急室たらい回し(응급실 뺑뺑이)」と呼ばれ、たびたび報道されてきました。医学部の定員増をめぐる政府と医療界の対立でも、医療現場の負担は重くなっています。
医療界の中には、医療事故や診療をめぐって刑事責任を問われるリスクが高いことが、必須医療の担い手が減る一因だという声があります。今回の捜索が強い反発を呼んだのは、こうした危機感が背景にあるためだと考えられます。一方で、捜査機関が法に基づいて動くこと自体は当然だという見方もあります。医療現場をどう守りつつ、捜査の適正さをどう確保するのか。来週の協議でどのような方向性が示されるかが注目されます。
※本記事は韓国の現地報道をもとに、編集部が日本語で再構成したものです。
📰 情報ソース:한겨레




